チェストベッドの耐荷重はどのくらい?安心して使うための基礎知識

こんにちは!ベッド通販「眠り姫」店主の佐藤です。
ベッド一筋17年、お客様の快適な眠りのために日々奮闘しております。
さて、抜群の収納力で大人気のチェストベッドですが、購入を検討される際、ついつい収納量やデザインに目が行きがちで、「耐荷重」については見落としていませんか? 「どのくらい丈夫なの?」「二人で使っても大丈夫?」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、ベッドのプロである私が、チェストベッドの耐荷重の正しい知識と、長く安心して使える製品選びのポイントを、徹底的に解説いたします。
これを読めば、あなたにぴったりの頑丈な一台がきっと見つかりますよ。

耐荷重の表示、正しく理解できていますか?

チェストベッドを選ぶ際、多くの方が「耐荷重〇〇kg」というスペック表示を目にするかと思います。
この数値が一体何を意味し、どのように解釈すれば良いのか、正しくご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。
実は、耐荷重の表示にはいくつかの種類があり、その意味を理解しないまま数値だけを鵜呑みにすると、「思ったより頑丈じゃなかった…」という事態になりかねません。
長く安全にベッドをお使いいただくために、まずは耐荷重の基本的な知識をしっかりと身につけましょう。
ここでは、耐荷重表示の裏に隠された意味や、知っておくべき重要なポイントを、17年以上の販売経験を持つプロの視点から詳しく解説していきます。

「静止耐荷重」と「想定耐荷重」の違い

ベッドのスペックで最も一般的に表示されているのが「静止耐荷重」です。
その名の通り、人がベッドの上で静かに横になった状態、つまり動きのない状態でどのくらいの重さまで耐えられるかを示した数値です。
ベッドにゆっくりと腰掛けたり、静かに寝ている状態を想定しています。
私たちの睡眠は常に静的なわけではありません。
寝返りを打つ、ベッドから起き上がる、腰かけるといった日常的な動作では、瞬間的に体重の1.5倍から2倍以上の負荷がベッドにかかると言われています。
体重70kgの人が寝返りを打った瞬間には、100kg以上の力が局所的にかかる可能性があるのです。
静止耐荷重がご自身の体重ギリギリのベッドを選んでしまうと、日常的な使用でフレームや床板に過度な負担がかかり、きしみや破損の原因となる可能性があります。
一部のメーカーでは「想定耐荷重」や「設計耐荷重」といった独自の基準を設けている場合があります。
これらは寝返りなどの日常的な動作を考慮に入れた、より実用的な数値であることが多いですが、残念ながら業界で統一された基準はなく、メーカーによって算出方法が異なります。
したがって、異なるメーカーの「静-耐荷重」と「想定耐荷重」を単純に比較することはできません。
ベッドを選ぶ際は、表示されている数値が「静止耐荷重」であることを念頭に置き、ご自身の体重に寝返りなどの動的な負荷を考慮して、十分な余裕を持った耐荷重の製品を選ぶことが、安全で快適な睡眠への第一歩と言えるでしょう。

JIS規格と各メーカーの独自基準

お客様から「耐荷重の基準って、どこが決めているの?」というご質問をよくいただきます。
実は、家庭用ベッドの耐荷重について、法律で定められた統一の公的基準というものは存在しないのが現状です。
多くのメーカーは自社の基準に基づいて耐荷重試験を行い、その結果を「耐荷重〇〇kg」として表示しています。
これが、同じようなデザインのベッドでもメーカーによって耐荷重の数値が大きく異なる理由の一つです。
信頼性の高い一つの指標として「JIS規格」があります。
JISとは日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略で、日本の産業製品に関する規格や測定法などを定めています。
ベッドフレームについては「JIS S 1102」という規格があり、床板(すのこ)の強度試験や、フレームの垂直・水平方向への荷重試験など、非常に厳格な試験方法が定められています。
床板の中央部に一定の荷重を加え、破損や異常がないかを確認する試験などが行われます。
このJIS規格に準拠した試験をクリアしている製品は、客観的に高い安全性が証明されていると言えます。
商品ページに「JIS規格準拠」「JIS基準クリア」といった表記があれば、それは信頼できる製品選びの大きな判断材料になります。
JIS規格の試験にはコストと時間がかかるため、すべてのメーカーが実施しているわけではありません。
多くの場合は、JIS規格を参考にしつつ、より厳しい独自の基準を設けて試験を行っている優良メーカーも存在します。
大切なのは、メーカーがどのような基準で耐荷重を算出しているか、その根拠をきちんと示しているかです。
ただ高い数値を掲げるだけでなく、試験方法やその結果を公開しているメーカーは、製品の安全性に対する意識が高く、信頼できると言えるでしょう。

耐荷重はマットレスの重さも含むことを忘れずに

これは私が17年間、お客様に口を酸っぱくしてお伝えしてきた、非常に重要でありながら最も見落とされがちなポイントです。
ベッドフレームに表示されている「耐荷重」は、ベッドの上に載るすべてのものの合計重量に対するものです。
つまり、「使用者の体重」だけでなく、「マットレスの重量」も含まれるのです。
耐荷重が150kgのシングルベッドがあるとします。
ここに体重70kgの方が寝る場合、「まだ80kgも余裕があるから大丈夫」と考えるのは早計です。
その上に載せるマットレスの重さを計算に入れていません。
一般的なシングルサイズのポケットコイルマットレスの重量は、約20kgから25kgほどあります。
すると、実際の余裕は「150kg - 70kg(使用者) - 25kg(マットレス) = 55kg」となります。
この55kgという余裕の中で、先ほどお話しした寝返りなどの動的な負荷を吸収しなければなりません。
もし、厚みのある高級なマットレスや、ラテックスなどの重い素材のマットレスを選んだ場合、その重量は30kgを超えることもあります。
そうなると、余裕はさらに少なくなってしまいます。
セミダブルやダブルサイズのベッドを二人で使用する場合は注意が必要です。
二人の体重の合計に、さらにダブルサイズのマットレスの重量(約30kg〜40kg)を加算して計算する必要があります。
この計算を怠ると、知らず知らずのうちに耐荷重をオーバーしてしまい、ベッドの寿命を縮めるだけでなく、破損による思わぬ事故につながる危険性も否定できません。
ベッドフレームを選ぶ際は、必ず「使用者の体重+マットレスの重量」を算出し、その合計値が静止耐荷重を十分に下回るような、余裕のある製品を選んでください。

ベッドフレーム本体とすのこの耐荷重

チェストベッドの頑丈さを支えているのは、一体どの部分なのでしょうか。
耐荷重を考える上で、ベッドフレーム全体の構造と、私たちの体を直接支える「すのこ(床板)」の役割を理解することは非常に重要です。
チェストベッドは、その特徴的な構造から高い耐荷重を実現しやすいというメリットがありますが、一方で使われている素材や部品によってその強度は大きく左右されます。
ここでは、チェストベッドがなぜ頑丈なのかという構造的な理由から、すのこの材質による違い、そして意外と知られていない重要なパーツの役割まで、詳しく掘り下げて解説していきます。
この知識があれば、スペックの数値だけでなく、製品の本質的な強さを見抜く力が身につきます。

チェストベッドの構造と耐荷重の関係

チェストベッドがなぜ一般的な脚付きベッドフレームと比較して高い耐荷重を持つ傾向にあるのか、その秘密は独自の「ボックス構造」にあります。
一般的なベッドは、四隅の脚とフレームでマットレスを支える「点」や「線」で支える構造です。
これに対し、チェストベッドは引き出し収納部分全体が箱(ボックス)の形をしており、この箱全体で床板とマットレスを支える「面」で支える構造になっています。
ちょうど、頑丈な箱の上にすのこ板を載せているようなイメージです。
このボックス構造により、上からの荷重がベッド全体に効率よく分散され、一点に負荷が集中するのを防ぎます。
きわめて高い安定性と強度を生み出すのです。
引き出しの反対側も収納スペースになっているタイプや、フレーム全体が隙間なく箱で構成されている「大容量タイプ」のチェストベッドは、構造的に非常に頑丈です。
ここで注意したいのは、すべてのチェストベッドが同じように頑丈なわけではないという点です。
ボックス構造を形成する板の厚みや材質、そして各パーツの接合方法によって、耐荷重は大きく変わってきます。
引き出しの側板や底板、フレームの芯材に、安価なパーティクルボード(木材のチップを接着剤で固めた板)を多用している製品は、湿気に弱く、長期間の使用で強度が低下する可能性があります。
強度と耐久性に優れたMDF(中質繊維板)や、しっかりと厚みのある化粧繊維板、さらには桐などの天然木を構造部材に使用している製品は、長く安心して使えます。
チェストベッドを選ぶ際は、デザインや収納力だけでなく、この「ボックス構造」がどのような材質で、どのくらい堅牢に作られているかという点にもぜひ注目してみてください。

すのこの種類(LVL、桐、檜など)と耐荷重

ベッドの耐荷重を語る上で、私たちの体重を直接受け止める「すのこ(床板)」の存在は絶対に欠かせません。
フレームがいかに頑丈でも、このすのこが貧弱であれば、ベッド全体の耐荷重は著しく低下してしまいます。
すのこに使われる材質は様々で、それぞれに特徴と強度、そして価格が異なります。
現在、特に高耐荷重を謳うベッドで主流となっているのが「LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)」です。
これはポプラなどの木材を薄い板状に加工し、繊維方向を揃えて何層にも重ねて強力な接着剤で圧着した木材です。
LVLは、天然の木材に比べて反りやねじれ、割れが少なく、強度にばらつきがないため、非常に安定した高い強度を誇ります。
耐荷重500kgや600kgといった頑丈なベッドのすのこには、このLVLが使われていることがほとんどです。
日本の気候に適した素材として古くから親しまれているのが「桐(きり)」です。
桐は非常に軽量で、優れた調湿効果があるのが最大の特徴です。
湿気がこもりやすいマットレスの下を快適に保ってくれます。
ただし、素材自体は柔らかいため、強度を確保するためにはある程度の厚みが必要になります。
安価なベッドに使われている薄い桐すのこは、強度面に不安が残る場合もありますので注意が必要です。
そして、高級なすのことして知られるのが「檜(ひのき)」です。
檜は硬くて丈夫な上に、特有の芳香にはリラックス効果や防虫・抗菌効果も期待できます。
耐久性が非常に高く、長年にわたって安心して使用できる最高級の素材と言えるでしょう。
その他、比較的安価なベッドにはパイン材(松)などが使われることもあります。
どの素材が良いかは一概には言えませんが、少なくとも「高耐荷重」を求めるのであれば、LVLすのこを採用しているか、あるいは十分な厚みを持たせた桐や檜のすのこを使用している製品を選ぶことが賢明です。

耐荷重を支える重要なパーツ「センターレール」

特にセミダブルやダブル、クイーンサイズといった幅の広いベッドにおいて、耐荷重を大きく左右する縁の下の力持ち、それが「センターレール」とそれを支える「支持脚」です。
ベッドは構造上、中央部分が最も荷重がかかりやすく、たわみやすいという弱点があります。
すのこをただ左右のフレームに渡しただけでは、中央部分がしなってしまい、きしみや破損の原因となります。
この中央部分のたわみを防ぎ、すのこをしっかりと下から支えるのがセンターレールの役割です。
いわば、ベッドフレームの背骨とも言える非常に重要なパーツなのです。
このセンターレールがあるかないか、そしてその構造がどうなっているかで、ベッドの耐久性は全く違ってきます。
信頼性の高い高耐荷重ベッドには、必ず太くて頑丈なセンターレールが備わっています。
そのセンターレールを床から支える「支持脚」の本数や太さも重要です。
支持脚が複数本あることで、荷重が床へと効率よく分散され、ベッド全体の安定感が格段に増します。
私がこれまでに見てきた中で、残念ながら安価な海外製品などには、このセンターレールが省略されていたり、非常に細くて頼りないものであったり、支持脚がついていなかったりするケースが見受けられました。
これでは、たとえカタログスペックで高い耐荷重を謳っていても、長期間の使用には耐えられない可能性が高いと言わざるを得ません。
通販でベッドを購入する際は、商品全体の外観写真だけでなく、必ずベッドの裏側や構造がわかる詳細画像を確認してください。
そこに、しっかりとしたセンターレールと支持脚が写っているか。
頑丈なベッドを見分けるための、プロが必ずチェックする非常に重要なポイントです。
この一手間を惜しまないことが、長く安心して使えるベッド選びにつながります。

二人以上で使う場合や、お子様と使う場合の注意点

ベッドは一人だけで使うものとは限りません。
ご夫婦やカップルで、あるいは小さなお子様と添い寝をするために、セミダブルやダブルサイズのチェストベッドを検討される方も多いでしょう。
使用する人数が増えれば、当然ベッドにかかる負荷も大きくなり、耐荷重に対する注意もより一層必要になります。
予測不能な動きをすることが多いお子様と一緒にお使いになる場合は、大人だけで使うのとは全く異なる視点での配慮が求められます。
ここでは、複数人でチェストベッドを安全・快適に使用するために、必ず知っておいていただきたい注意点を具体的に解説します。
大切なご家族との眠りを守るためにも、ぜひご一読ください。

セミダブルやダブルの耐荷重と二人での使用

ご夫婦やカップルで新しいベッドを選ぶ際、耐荷重の計算は必須です。
基本の考え方は、これまでお話ししてきた通り「お二人の体重の合計+マットレスの重量」が、ベッドフレームの静止耐荷重を下回っていることが絶対条件となります。
二人で使う場合は、さらに考慮すべき点があります。
それは、一人で使う場合に比べて、ベッドの上での動きが格段に増えるということです。
一人が寝返りを打つ振動は、もう一人にも伝わります。
夜中にどちらかが起き上がったり、ベッドに入ったりする際の荷重もかかります。
これらの動的な負荷は、静止している状態よりもはるかに大きな力をフレームに加えます。
二人で使用するベッドの耐荷重は、計算上の合計重量ギリギリではなく、できるだけ大きな余裕を持たせることが極めて重要です。
私ども「眠り姫」では、お客様に安心して長くお使いいただくために、一つの目安として「(お二人の体重合計+マットレス重量)× 1.5倍〜2倍」程度の静止耐荷重がある製品をおすすめしています。
ご主人75kg、奥様55kg、ダブルのマットレスが35kgだとすると、合計重量は165kgです。
この場合、耐荷重が300kg以上あるベッドを選ぶと、きしみや揺れを気にすることなく、お互いの眠りを妨げずに快適にお使いいただけるでしょう。
耐荷重が不足しているベッドを二人で使い続けると、フレームの接合部が緩み、不快なきしみ音が発生しやすくなります。
このきしみ音は、安眠を妨げるだけでなく、ベッドの強度が低下しているサインでもあります。
大切なパートナーとの快適な眠りの空間を作るためにも、初期投資を惜し十分な耐荷重を備えた頑丈なベッドをお選びください。

お子様がベッドの上で遊ぶことのリスク

これはベッド販売に17年以上携わる者として、声を大にしてお伝えしたい最も重要な注意事項の一つです。
お子様にとって、広くて弾力のあるベッドは最高の遊び場に見えるかもしれません。
ベッドの上で飛び跳ねたり、プロレスごっこをしたりする行為は、重大な事故につながる可能性があり、絶対におやめいただきたいのです。
ベッドに表示されている「静止耐荷重」は、あくまで大人が静かに寝ることを前提とした数値です。
お子様が飛び跳ねる際に発生する瞬間的な衝撃力は、ご自身の体重の何倍、状況によっては10倍以上にも達することがあります。
体重20kgのお子様がジャンプしただけで、200kg以上の負荷がすのこの一点に集中することもあり得るのです。
多くのベッドの耐荷重をはるかに超える数値です。
たとえ耐荷重500kgを誇る頑丈なベッドであっても、それは静的な荷重に対する強度であり、このような衝撃的な負荷は想定されていません。
結果として、すのこが突然「バキッ!」と音を立てて割れ、お子様が落下して骨折などの大怪我をしたり、割れた木材の破片で体を傷つけたりする悲惨な事故につながるケースも報告されています。
フレーム自体が破損し、ベッドが崩壊する危険性もゼロではありません。
私たち販売店は、お客様に安全な製品をお届けする義務がありますが、想定外の使い方による事故を防ぐことはできません。
ベッドは、体を休めるための大切な家具であり、決してトランポリンのような遊具ではありません。
このことを、保護者の皆様からお子様へ、繰り返し、そして強くお伝えいただきたいと思います。
お子様の安全を守るため、何卒ご協力をお願いいたします。

添い寝をする際の耐荷重の考え方

小さなお子様との添い寝は、親子の絆を深めるかけがえのない時間です。
その大切な時間を安心して過ごすためにも、添い寝で使うベッドの耐荷重は慎重に考えましょう。
計算の基本は、二人使用時と同様に「大人の体重+お子様の体重+マットレスの重量」の合計が、ベッドの静止耐荷重を十分に下回ることです。
ここでお子様と使うならではのポイントが二つあります。
一つ目は、お子様の成長を考慮することです。
現在10kgのお子様も、数年後には20kg、30kgと体重が増えていきます。
ベッドは一度購入すると5年、10年と長く使う家具です。
購入時の体重だけでギリギリの耐荷重のベッドを選んでしまうと、数年後には耐荷重オーバーになってしまう可能性があります。
お子様の将来の成長を見越して、できるだけ耐荷重に余裕のある製品を選ぶことが、結果的に長く安心して使える賢い選択と言えます。
二つ目は、お子様の寝相です。
大人のように静かに寝ていることは少なく、ベッドの上をゴロゴロと転がり回ったり、時には寝ぼけて手足をばたつかせたりすることもあります。
このような予測不能な動きは、ベッドフレームや特にすのこに不規則な負荷をかけることになります。
やはり静止耐荷重には十分なマージンを持たせることが重要です。
大人60kg、お子様15kg、マットレス30kgで合計105kgの場合、耐荷重200kgのベッドでも計算上は問題ありませんが、お子様の成長と動きを考慮すると、耐荷重300kg以上の、より頑丈な作りのベッドを選んでおくと安心感が全く違います。
お子様との添い寝は、日々の成長を感じられる貴重なひととき。
だからこそ、安全性の高いベッドを選んで、毎日の眠りを確かなものにしてください。

長く安心して使える、高耐荷重なチェストベッドの選び方

さて、これまでチェストベッドの耐荷重に関する様々な知識を解説してきました。
耐荷重表示の正しい見方から、構造、利用シーン別の注意点まで、ご理解いただけたかと思います。
最後は、これまでの知識を総動員して、実際に「長く安心して使える、高耐荷重なチェストベッド」をどのように選べばよいか、具体的な選び方のポイントを伝授いたします。
スペックの数値だけに惑わされず、製品の本質的な品質を見抜くためのチェック項目です。
これらを参考に、後悔のないベッド選びを実践してください。

JIS規格の試験をクリアした製品を選ぶ

数あるベッドの中から、客観的な信頼性を持つ製品を見つけ出すための最も分かりやすい指標が「JIS規格」です。
前述の通り、ベッドの耐荷重には法的な統一基準がありません。
だからこそ、第三者による公平な基準で試験され、その安全性が証明されていることは、製品選びにおける絶大な安心材料となります。
商品を選ぶ際に「JIS S 1102準拠」「JIS基準の耐荷重試験クリア」といった文言を探してみてください。
この表記がある製品は、定められた方法で厳格な強度試験(すのこの中央部に80kgの荷重を30分間加え続ける、フレームに垂直・水平方向から力を加えるなど)をパスしていることを意味します。
耐荷重500kg、600kgといった非常に高い数値を謳っている製品の場合、その数値の信頼性を担保するのが、こうした公的な試験です。
メーカーが独自に「頑丈です」と言うだけでなく、「公的な基準で証明されています」という裏付けがあるかないかは、信頼度において天と地ほどの差があります。
もちろん、JIS規格をクリアしていることが絶対条件ではありません。
素晴らしい製品は他にもたくさんあります。
特にインターネット通販のように実物を直接確認できない買い物においては、この「JIS規格クリア」というお墨付きは、失敗のリスクを減らすための非常に有効な道しるべとなります。
迷ったとき、どちらの製品にしようか決めかねたときは、JIS規格を一つの判断基準に加えることを強くお勧めします。
それは、ご自身とご家族の安全を守るための、賢明な選択と言えるでしょう。

フレームの材質や構造を確認する

カタログスペックの「耐荷重〇〇kg」という数値は、あくまで結果です。
本当に大切なのは、なぜその耐荷重を実現できているのか、その根拠となる「材質」と「構造」を自分の目で確かめることです。
ベッドのプロである私たちが、製品の良し悪しを判断する際に最も重視するポイントでもあります。
まず「材質」について。
フレーム本体の芯材や、引き出しを構成するボックス部分に、どのような木材が使われているかを確認しましょう。
安価なパーティクルボードばかりでなく、強度と耐久性に優れるMDFや、しっかりとした厚みのある化粧繊維板、さらには桐などの無垢材が効果的に使われている製品は信頼性が高いです。
体を直接支えるすのこは、強度にばらつきの少ない「LVL」製か、十分な厚みを持たせた桐や檜などの天然木材かを確認します。
次に「構造」です。
チェストベッドの強みの源である「ボックス構造」が、隙間なく堅牢に組まれているか。
引き出しの作りはしっかりしているか。
そして何より、セミダブル以上のサイズでは、ベッドの背骨となる「センターレール」がきちんと備わっているか、それを支える「支持脚」が何本あるかを確認してください。
これらの情報は、質の高いメーカーであれば、商品ページに詳細な写真付きで掲載されているはずです。
すのこの裏側の写真、フレームの断面図、接合金具の種類など、細部まで公開している製品は、品質に自信がある証拠です。
逆に、こうした構造に関する情報が少なく、綺麗なイメージ写真ばかりを並べている製品は、少し慎重に判断する必要があります。
数値を鵜呑みにせず、その背景にある本質的な作り込みに目を向けること。
それがプロのベッド選びです。

第三者機関による検査済みの製品を選ぶ

JIS規格と並んで、製品の信頼性を客観的に証明してくれるのが、メーカーや販売店とは利害関係のない「第三者検査機関」による品質試験です。
これも、安全な製品を選ぶ上で非常に心強い味方となります。
日本では「一般財団法人ボーケン品質評価機構(BOKEN)」などが有名です。
これらの機関は、依頼に基づき、専門的な知識と設備を用いて製品の性能や安全性を評価・試験します。
ベッドフレームであれば、JIS規格に準じた耐荷重試験や、特定の条件下での垂直衝撃試験、耐久性試験などが行われます。
そして、その試験結果を「試験成績報告書」として発行します。
商品ページに「ボーケン品質評価機構にて耐荷重試験実施済み」といった記載と共に、試験に合格したことを示す証明書が掲載されていれば、その製品の耐荷重表記は極めて信頼性が高いと判断できます。
メーカーが自社で行う「社内試験」ももちろん重要ですが、やはり第三者の客観的な視点で評価されているという事実は、消費者の私たちにとって大きな安心につながります。
このような第三者機関による検査には、当然ながら費用がかかります。
検査を実施している製品は、そうでない製品に比べて価格が少し高くなる傾向があるかもしれません。
それは「安全」と「安心」に対する投資だとお考えください。
数千円、数万円の価格差を惜しんだ結果、数年で壊れてしまったり、万が一の事故が起きたりしては元も子もありません。
特に高耐荷重を謳う製品を選ぶ際には、その数値の根拠として、こうした第三者機関による検査の有無を確認することをおすすめします。

購入者のレビューや口コミを参考にする

製品選びの強力な助けとなるのが、実際にそのベッドを購入し、毎日使っている「先輩ユーザー」たちの生の声、つまりレビューや口コミです。
メーカーが発信する情報やスペックだけでは分からない、リアルな使用感を知ることができる貴重な情報源です。
レビューをチェックする際は、ただ星の数を眺めるだけでなく、その内容をじっくりと読み込むことが重要です。
特に注目していただきたいのは、「耐久性」や「きしみ音」に関するコメントです。
「大柄な夫が寝返りを打っても全くきし安定感抜群です」「組み立ては大変でしたが、その分とても頑丈な作りで満足しています」「購入して3年経ちますが、歪みもなく快適に使えています」といった具体的な高評価コメントが多い製品は、信頼性が高いと言えるでしょう。
逆に、「使い始めてすぐにギシギシと音が鳴り始めた」「すのこが薄くて寝るのが少し怖い」「引き出しの作りが安っぽい」といったネガティブな意見が散見される場合は、注意が必要です。
どのような体格の方が、どのような使い方(一人、二人、添い寝など)をしているかという情報も参考にすると、ご自身の状況と照らし合わせやすくなります。
ただし、レビューを参考にする上での注意点もあります。
それは、レビューはあくまで個人の主観であるということ、そして稀に不自然な高評価(サクラレビュー)が混じっている可能性もあるということです。
一つのレビューを鵜呑みにせず、複数のレビューを総合的に読み解き、全体的な傾向を掴むように心がけてください。
私ども販売店の立場から見ても、長期間にわたって安定的に高い評価を得続けている製品は、やはり品質が確かで、お客様の満足度が高いものばかりです。
ぜひ、先輩たちのリアルな声を、あなたのベッド選びに役立ててください。

チェストベッドの耐荷重はどのくらい?安心して使うための基礎知識   

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